DIYではあまりなじみがない【ツキ板シート(突板)】。
ベニヤ板、MDFなんかの安っぽい仕上がりを高級無垢材のように仕上げてくれるツキ板を紹介しようと思う。
合板やSPFで満足できなくなったDIYerの参考となれば幸いだ。
目次
ツキ板シートとは



ツキ板とは、天然木を0.25mm程度の薄さにスライスした板のこと。
合板やMDFの表面に貼ることで、まるで広葉樹の無垢材のように仕上げてくれる魔法のシート。
内装に使われるシナ合板もツキ板の一種。合板の表面にきれいなシナを貼っている。
そんな感じで合板なんかを高級感あふれる広葉樹に仕上げてくれるのがツキ板シートだ。
高級家具もツキ板
かなりお高めの高級家具もテーブル天板はツキ板を使っている。棚、扉のような広い面積部分も突板が活躍している。
無垢材に比べて安く作れて、軽く、反りや曲がりも防止できる。
見た目、手触りは無垢材

まあ、違いは分からない
見た目と手触りで無垢材とツキ板を見分けるのは難しい。って言うか無理だと思う。
ツキ板自体が本物の天然木なので違いが無いからだ。
無垢材よりコストを抑えられる
ウォルナットの無垢材でテーブル天板を作ろうと思うと、びっくりする値段になる。
一般DIYではまあ手が出ない。
でも合板に突板を貼ることで大幅なコストカットができる。
いろんな樹種を楽しめる
僕がよく使うのは【メープル】【ブラックチェリー】【タモ】。
ほかにも人気の【ウォルナット】【チーク】、珍しい【ゼブラ】【ブビンガ】などもある。
ツキ板シートの使用例
引き出しの前板 メープル


ツキ板は引き出しの前板として重宝する。ランバーコアに可愛らしいメープルの突板を貼っている。
写真では分かりにくいけど、白くて可愛らしい引き出しになった。
そして吸い付くような絹肌の手触り。
ラワン合板にタモ

ラワン合板にタモのツキ板を貼ると、ぐっと高級感が出る。
MDF+ブラックチェリー突板

MDFにブラックチェリー
無機質なMDFもツキ板を貼ると一気に無垢材に変身する。
買えるところ【ツキ板GIFU】さん
僕がお世話になっているのは【ツキ板GIFU】さん。
樹種が豊富でサイズが選べるので買いやすい。A4サイズ~ロールで買うことができる。そして安い。おそらくネットで最安値だと思う。
納期は商品在庫によるけど、僕がよく使う【アメリカンブラックチェリー】のイージータイプ、Sサイズ(900x1800)は約7~10日で到着する。かなり短納期。
900x1800サブロクサイズ2枚+接着剤で梱包はこんな感じ。


ツキ板合板も買える
ツキ板シートがすでに貼られている合板も売っている。【ツキ板GIFU】さんの合板用HP。
ツキ板合板は趣味のDIYレベルで買うことはないと思う。僕も買ったことがない。
合板サイズは送料も高く、土日配送や17時以降の配送もないので、基本的には法人向けだと思う。
ツキ板の種類とおすすめ
【ツキ板GIFU】さんには、3種のツキ板シートがある。【イージー】【クイック】【ノーマル】タイプ。
DIYなら【イージー】or【クイック】がおすすめ。特に最初は【クイック】がいいと思う。
イージータイプ
接着剤を使って貼り付けるタイプ。裏側に含侵紙が貼ってあるので、かなり頑丈。
しわになりにくく、広い面積に最適。値段も安いので、棚板やテーブル天板によく使う。

イージータイプをよく使っている

クイックタイプ
ツキ板の裏面に両面テープが張られており、接着剤不要で使える便利なタイプ。
小さい面積のワンポイント的によく使う。

最初に使うならクイックタイプがおすすめ
めちゃ簡単。

ノーマルタイプ
めちゃくちゃ薄くて光が透過するタイプ。曲げて使うこともできる。その分、扱いが繊細。貼り付ける基材側の色が透けやすいらしく、僕は使ったことがない。
クイックタイプの使い方




両面テープと同じ使い方
裏のシートを剥がして貼り付けるだけ。ほんと簡単。
後は無垢材と同じようにサンディングできるし、塗装もできる。ただしサンディングは軽めに。薄いので貫通することがあるらしい。僕は今のところやらかしたことはないけど、注意が必要。
イージータイプの使い方
クイックタイプに比べると手順が多いけど、簡単な工程ばかり。
今回紹介するのは【アイロン用専用接着剤】を使った方法。
(最近になって、アイロン不要のゴム系接着剤による方法も追加されたみたい。次に買うときに試そうと思う)
使用する道具一覧

- 圧着用のアイロン・・・アイリスオーヤマの2,280円
- 圧着用のヘラ・・・合板にショップタオルを巻いたものor樹脂ローラー
- 専用接着剤・・・ツキ板GIFさんのオリジナル。同時に購入しよう。
- スポンジ・・・接着剤の塗布用。ローラータイプがおすすめ
後はカッター、紙やすりが必要。
圧着用の樹脂ローラー
接着剤用のスポンジローラー
手順1:基材の下地作り

下地となる基材の表面を#240でサンディングする。
接着剤のノリを均一にするのと、仕上がり後の凹凸を無くすのが目的。
オガコや糸くずなどはしっかり取り除こう。凹凸の原因になってしまう。
手順2:ツキ板シートのカット


基材よりも5~10mmくらいはみ出るようにカット。基材とぴったりサイズだとちょっとずれただけで命取りになる。
手順3:専用接着剤の塗布
均等に両面塗布 回数は2回


基材、ツキ板シートの両面に専用接着剤を塗布。回数は2回。
白ボンドよりも粘度が高いので凹凸にならないように、スポンジで均等に塗布しよう。
木の導管に吸い込まれるようにしっかり目に塗布する。
20~30分待つ
20~30分くらいしたら、専用接着剤が透明になって指で触ってもくっつかない状態になる。少しぺたぺたするくらい。
2回塗り

この状態で接着剤の2回目を塗布する。1回目より接着剤の量は少なめ。
2回目の塗布後も20~30分くらい待って、接着剤が指にくっつかないくらいことを確認しよう。
塗布はスポンジローラーがいい
接着剤の塗布面積が小さいなら食器用スポンジでもOK。スポンジをカッターで適度な大きさに切って使っている。時間が掛かってしまうとスポンジがボロボロになってしまうので注意してほしい。
広い面積にはスポンジローラーのほうがいい。今回の引き出しの前板サイズ(150x400)4枚。これくらいだとスポンジローラーが良かったかな。
スポンジローラーは使ったらすぐに水洗いすること。
手順4:圧着

突板シートと基材を貼り合わせて、ヘラなどで空気を抜くように圧着する。圧着前なら位置調整可能。
ここの圧着は仮固定のようなものなので、そこまで神経質にならなくてもOK。全体的に満遍なく圧着しよう。
僕は合板にウエスやショップタオルを巻いたもので代用しているけど、圧着ローラーのほうがいいと思う。キズが付きにくい。
手順5:アイロンがけ

専用接着剤はアイロンの熱でくっつく。100度前後に熱したアイロンをツキ板シートの上から押し付ける。
ちょっと押し付けながら空気を抜く感じ。中心部から外に向かってアイロン掛けして、端の部分は特に丁寧に圧着する。
アイロンを長時間充てるとツキ板シートが変色しちゃうけど、よほど放置しない限り大丈夫。ゆっくりアイロン掛けしよう。
アイロン掛けが甘くても、後日アイロン掛けすればOK。再接着できる。
手順6:余分な部分をカット+サンディング

温度が下がるのを待ってから、余分な部分をカッターでカット。
僕は基材ギリギリではなくて、気持ち余裕をもってカットする。ギリギリだと基材に傷が付く、ツキ板シートを切り継ぎてしまうかもしれないから。

余った部分は180番くらいでサンディングすると自然な仕上がりになる。
僕は平面が出ている角材にサンドペーパーを張り付けたものを使用している。
あまり角を強くサンディングしてしまうと基材が見えてしまうので注意しよう。
以上で完成となる。結構簡単。

上がメープルのツキ板シートをランバーコアに張ったやつ。
下が貼る前の基材。
オイルフィニッシュして引き出しの前板に使用した。メープルの無垢材は高価だけど、ツキ板シートを使うとかなりのコストカットになった。
広葉樹のきめ細かなシルク肌がお気に入り。作業台の引き出しにしてはかなり可愛く仕上がった。

広葉樹にはオイルフィニッシュがおすすめ。最高の仕上がりにしてくれる。
突板シートの塗装と角部分について

塗装できるよ
オイルやワックス塗装も問題なくできる。薄い木材なので心配だと思うけど大丈夫。
トルエン入りのブライワックスオリジナルでも接着不良が起きたことはない。

ツキ板シート同士の角部分

隙間なくきれい

厚めのクイックタイプを両面に張り付けた角部分。
厚めなので隙間ができるかと思ったけど、隙間なくきれいに仕上がった。
仮に隙間ができても、薄茶色の色鉛筆でカバーできると思う。
まとめ ツキ板でワンランク上のDIYを
ツキ板シートを使えば、合板でも広葉樹の無垢材のような仕上がりになる。
テーブル天板や棚板などの見える部分で使うとDIYの完成度がぐっと上がってくれると思う。
広葉樹の無垢材は高いけど、ツキ板という裏技であれば安価にできるのでぜひチャレンジしてほしい。