目次
マイクロスイッチとは?

簡単に表現すると「小さな力で切り替わる押しボタンスイッチ」。
内部にバネがあって、押しボタンが一定距離押し込まれると【カッチン】と勢い良く接点が切り替わる構造になっている。
(=スナップアクション機構)
【小さな力】【明確な切り替わり】という特徴を持つのがマイクロスイッチだ。
この特徴によって、接点間のアーク(放電)が発生する時間を少なくでき、大電流でも長寿命なスイッチとして重宝されている。
どんなところに使われている?


身近なところでは、マウス、洗濯機のフタ、電子レンジのフタ、ガレージシャッター、エレベーター、ゲームコントローラなどなど。
ガジェット、鉄道模型、リズムゲームを趣味にするなら結構身近な部品になる。クリック感の調整や修理に使っている人は結構いる。
産業機器では開閉センサ、検知センサ、重量センサ、安全制御など昔からいたるところに使われている。
リミットスイッチとの違い

精密機器に使うマイクロスイッチ。ちっさい。
ラフに使えるのがリミットスイッチ。でっかい。
内部構造や使い方はほぼ同じ。でっかくて、防塵、防水性能が高いのがリミットスイッチという認識でOKだ。
屋外シャッター、エレベーターの扉などはリミットスイッチが使われるかな。
マイクロスイッチの仕組み


マイクロスイッチには固定接点と、可動接点がある。
固定接点はNC接点(ノーマルクローズ)、NO接点(ノーマルオープン)、C接点(コモン)の3つがある。
可動接点は、金属バネが組み込まれており、押し釦を押すとガッチャンと位置が切替るようになっている。
下の写真のように可動接点の位置が、前後で切り替わっているのが分かると思う。
このようにして電気の通る道が切り替わる。

| 動作状態 | 押す前 | 押した後 |
|---|---|---|
| C-NC間 | クローズ(導通) | オープン(絶縁) |
| C-NO間 | オープン(絶縁) | クローズ(導通) |
大電流でも長寿命なマイクロスイッチ
ガッチャンと切替る構造をスナップアクション機構という。
このスナップアクション機構は【明確に素早く接点が切り替わる】ので、接点の消耗の原因となる【アーク】が発生する時間を大幅に抑えてくれる。
アーク放電による接点のダメージ

そもそもアークって何?
電気が通っている接点同士を引き離すと、接点間が狭い状態では空気中に放電が発生する。これをアーク放電という。
バリバリっと大きな音や熱が発生し、接点が消耗してしまう。
金属接点でアークは必ず発生する現象なんだけど、できるだけ短くしたほうが接点の寿命は長くなる。
アークが長時間発生すると下の写真の右のように、接点がボロボロとなり、接点不良となってしまう。

アークは電圧が大きいほど、発生しやすい。さらにACよりDCのほうがアークが切れにくいのでよりダメージが大きくなる。
マイクロスイッチの種類と選び方
大きさ
家電修理やDIYで使うなら【小型】。
マウスやガジェット系なら【超小型】がサイズ的にちょうどいい。
オムロンでいうと小型:V、VXシリーズ、超小型:D2シリーズ
パナソニックなら超小型:FSシリーズ
端子形状

【ハンダ端子】【タブ端子】【プリント板用端子】がある。
【ハンダ端子】が一般的で、リード線をはんだ付けしやすい構造になっている。
【タブ端子】はハーネスやコネクタを取り付ける端子で、見た目はハンダ端子と似ている。規格ものなので産業機器向けだ。
【ブリント板用端子】はプリント基板に差し込める細いピンのような形状になっている。基板設計とセットでの運用が前提になる。
DIYだとハンダ端子一択になると思う。

ボタン、ヒンジの形状

アクチュエータにはたくさんの種類があって、基本的な【押ボタン】と多種多様な【ヒンジ】に分かれる。
押ボタンはプラスチックのボタンそのまま。
ヒンジは金属レバーで押ボタンを押す構造になっており、ヒンジの長さで動作までの距離と必要な力が変わってくる。
さらにヒンジには先端が板、アール、ロールの3種がある。ヒンジを押す物体の大きさや形状によって選ぼう。
単純な軌道で押し込むなら押ボタン、板。
引出しのようなスライド構造ならアール、ロールが適している。
接点の種類
接点は大きく2種類があって、【大きな電流用】【小さな電流用】に分かれる。
【大きな電流用】は100mA~数A。接点素材は銀。
照明機器、産業機器を直接制御するときに使う。
【小さな電流用】は1~100mA。接点素材は金。微小負荷接点と呼ばれる。
家電、ガジェット、制御信号用に使うことが多い。
大きな電流用の銀接点は、使用に伴い接点表面に酸化被膜が形成さえる。この酸化被膜を小さな電流では貫通することができないので接点不良が発生しやすくなる。まあ僕の経験上、接点不良となることはめったにないけどね。一度もないんじゃないかな。
DIYレベルだと【大きな電流】用接点を使っても問題になることは少ないと思う。
メーカーと入手方法
代表的なメーカー
オムロン(公式HP)
パナソニック(公式HP)
日本国内ではこの2強。以前はアズビルなどもあったけど撤退しちゃった。
入手先
秋月電子とモノタロウ、Amazonで探して、なければDigi-keyとmouserを使うことが多い。
秋月電子、モノタロウ、Amazonは国内なので送料が安いけど、マイクロスイッチの品揃えは少なめ。
Digi-key、mouserは海外在庫なので輸送費が高いけど、品ぞろえ豊富。
ヒンジの種類を選びたいときにDigi-keyなどを使うことが多いかな。
DIY用途なら国内で十分だと思う。
使い方と配線方法
基本的な使い方
LEDをマイクロスイッチで点灯させる場合
C端子とNO端子を使って、マイクロスイッチが押されたらLEDを点灯させる配線は下のようになる。
(分かり易く説明するため、電源や抵抗などは省略)

押ボタンが押されていないと、NO端子はオープン(絶縁)なので電気が流れない。LED=消灯。

押ボタンが押されるとNO端子がCとショート(導通)して、電気が流れる。LED=点灯。
逆の動作にしたいならNC端子を使おう。
ボタンが押されたらON(導通)→COM+NOを使う
ボタンが押されたらOFF(絶縁)→COM+NCを使う
配線方法は半田付け
端子に穴が開いているので、被覆を剥いたリード線を挿入して半田付けしよう。
小型サイズならはんだ付けしやすい端子サイズ。
超小型は端子も小さいのでちょっと大変かな。


マイクロスイッチの注意点と不具合事例
押ボタンが押し込まれていない

押ボタンを押して接点が切り替わる位置をOP(動作点)という。そのOPから押ボタンがすべて隠れるまでの距離をOT(オーバートラベル)という。このOTの値は各マイクロスイッチごとに規定されている。そのOTの70~100%を押し込むことが推奨されている。
なぜかと言うと、OP点付近は接点切替りが不安定な領域で、その位置で固定されると接点が明確に切り替わらずにON-OFFを繰り返したり、連続してアークが発生したりするからだ。
なので、押ボタンはしっかりと押し込もう。DIYであれば、めんどくさい計算しなくても、押ボタンを全部押し込むイメージでいいと思う。
押ボタンの押し込みすぎ
逆に押し込み過ぎはNG。マイクロスイッチ本体に過剰な力が加わらないように注意しよう。
モーターで制御する場合などであまりスピードが速すぎたり、ディレイを大きくとりすぎるとマイクロスイッチが壊れることがある。
水分の侵入
直接水が掛かる場所や、湿気の多き場所では注意が必要。ショートしたり、接点がサビてしまう。
接点の寿命
接点の開閉回数には寿命があって、数十万回前後になる。商品によって異なるので確認しておこう。
DIYで使うならあまり気にしなくてもいいけどね。
シリコンガス、接着剤の影響
マイクロスイッチの周辺でシリコンコーキングや接着剤を使うと発生しやすい不具合になる。
シリコンや接着剤には揮発性の目に見えないガスが発生するものがある。
シリコンガス、シロキサンガスと呼ばれるものだ。
これらは、接点表面に被膜を形成して電気の通りを悪くしてしまう。
マウスの修理などでマイクロスイッチを瞬間接着剤で固定しようとすると発生しがちだ。
接点周辺でも使える接着剤を選ぶようにしよう。別の記事で紹介しているので興味があれば読んでほしい。
まとめ
マイクロスイッチは
小さな力で確実に切り替わる
誤動作が少ない
身近な製品から産業機器まで幅広く使われる
非常に優秀なスイッチでDIYや電子工作、家電の修理できっと役に立つはずだ。

